ドクターインタビュー (2/3)
渡邊院長の詳しい経歴とクリニックへの思い
ドクターインタビュー (2/3)
渡邊院長の詳しい経歴とクリニックへの思い
渡邊院長の詳しい経歴とクリニックへの思い
渡邊院長の詳しい経歴とクリニックへの思い
―ヨーロッパ留学時代の思い出を聞かせてください。
元々、フランス料理のコックを目指していたこともあり、フランスの文化が大好きでした。なので、イギリスやドイツの田舎町に住んでいるときでも、頻繁にパリに行きました。街角のCaféやRestaurantでお茶をしたり、食事をしていてもフランス人とはすぐに仲良くなれました。日本にいる時には女性から声をかけられることは一度もありませんでしたが、パリでは何度かあり(笑)、友人になった人もいます。彼女のおかげでフランス語はますます上達して、パリっ子を驚かせるほどになりました。その頃、イギリス在住にもかかわらずです(笑)。
ドイツに住んでいるときも、休日には様々な観光地を訪れました。でも、可能な限り必ずパリを経由して行っていました。車でパリに向かう道中、アウトバーンのサービスエリアで食事するのですが、フランス領に入った途端に食事も美味しくなるので笑ってしまったことがあります。それほどにフランス、特にパリは肌が合いました。私にとっては日本よりも居心地の良い場所でした。パリは嫌いというフランス人は意外と多いのですが(笑)。今思うと、私の感じた居心地の良さは、異邦人ならではの居心地の良さだったのではないかと思います。
―その他、オススメの場所はありますか。
フィンランドです。現地に行くまで、私の頭の中には最果ての地(Finlandとはそういう意味です)、寒い国、ムーミンの国、サンタクロースの国といった程度の知識ありませんでした。首都ヘルシンキのピエタリンカツというヨットハーバー近くの街のマンションに住んた時の話です。1ヶ月くらいした頃に不思議なことに気が付きました。毎日の生活で、一度も嫌な思いをすることがないのです。買い物にでかけても、食事にでかけても、電車に乗っても、街を歩いても、とにかくイライラすることや、腹立たしいことや、カチンとくることがありませんでした。人が優しく、ストレスを感じることなく生活ができました。ヘルシンキ港のマーケット広場で顔見知りになったナイフ屋のおじさんは、ギリシャ人で10年くらい住んでいると言っていました。彼に「ギリシャには帰らないのか?」と聞いたことがあったのですが、「帰るつもりは全くない。この国にはストレスがないんだ」と言いました。そんな国があるなんて信じられますか?私は彼の言葉を聞いて強く「イエス」と答えていました。
あれから10年以上が経ちました。私が感じた白に近い透明な光と空気、優しい人の心が残っていることを信じて、もう一度フィンランドで暮らしてみたいと思っています。
―留学で培った、先生の外国語習得法を教えて下さい。
フランス語はECCに一年通って基礎を身につけて、その後はほぼ独学です。でも、外国人の友人を作って話すことが一番会話力は付くと思います。彼女や彼氏をつくるのも早道ですが、喋り方が女っぽくなったり、男っぽくなったりしますので要注意です(笑)。また、映画やテレビを観たり、生活の全てをフランス漬けにすることで思考回路が彼らに似てくるみたいですね。私もフランス語でものを考えられるようになりました。今でも忘れないようにフランス語でものを考えることがあります。語学は、英語もドイツ語も同じです。日本でも外人さんがたくさんいますから、まずは友達を作ることだと思います。
―美容分野に進まれたきっかけを教えてください。
東京医大で勤務していたときに抱いた疑問がきっかけです。当時、私は顎変形症治療班でグループ長を務めていました。そこでは、噛み合わせが治ったのもかかわらず、手術結果に不満を抱える患者さんが少なからずいました。理由は「見た目が前より変になった」「あそこを、もう少し引っ込めたかった」等々です。しかし、その改善に保険適用はできないのです。私は、このような美的観点を考慮しない非合理的な治療に疑問を持つようになり、大学を辞職しました。ちょうどその頃、品川美容外科総院長の綿引先生から「骨切の輪郭形成の指導者としてウチにこないか?」と誘われて、美容の分野に進むことになりました。
そして、2004年9月から品川美容外科で美容顎顔面外科を開始しました。先生には「顔面骨格に使用する器材で必要なモノはなんでも買ってもかまわない」と言っていただき、大学時代から使用したかった手術器具や機械、コンピューターソフトなど最新の器具を揃えることができました。開院から大変多くの患者様にお越しいただき、時には3ヶ月の手術待機となることもありました。
品川美容外科での勤務も9年目を迎えた頃、美容顎顔面専門のクリニックを美容外科の先生と一緒に作る構想を抱きました。時を同じくして、同様のコンセプトで顎顔面外科のクリニックを作ろうとしている高名なドクターがいました。リッツ美容外科の広比利次先生です。2014年2月、初めてお会いしました。そこで「優秀な口腔外科医を探している」とのお話を頂きました。広比先生は顔面骨格の手術では有名な先生ですが、機能の関わる口腔外科の領域に触れてこなかったとおっしゃっていました。新しいクリニックのコンセプトは、「口腔頭蓋顎顔面の専門医集団を作る」というものでした。私はそれに賛同し2013年3月からセレスティアルクリニック東京で口腔顎顔面外科の専門医として働き始めました。
その後、自分の理想のクリニックを作るために退職し2014年7月銀座に美容顎顔面外科を専門とするマックスファクス銀座クリニックを立ち上げたのです。
―マックスファックスと大学病院とでは、どのような点が違うのでしょうか。
目指すゴールが違います。大学病院の最終目的は、機能障害の改善なのです。つまり、顎顔面変形症の場合、機能が正常な状態になれば、それで終わりと考えます。しかし、我々の目的は、機能に問題がない人、あるいは機能と外見を同時に改善したい人により美しくなってもらうことです。
こんな例がありました。ある有名な大学病院で顎変形症の手術を予定していた患者様が、美容外科を訪ねてこられたことがあります。担当医師から最終説明を受けたときに「手術をしても美しくはならないですよ」と言われたとのことでした。それを聞いて彼女は失望し、手術をやめようかと考えたそうです。私は、彼女に「美しくなります」と答えました。美容の観点から顎変形症を見た結果、そのように判断したのです。結局、その患者様は大学病院での手術をやめて、美容外科での手術を選択しました。
私はこう考えます。機能を改善すると同時に美しさも考慮した手術を行えればそれに越したことはありません。「美しくなりたい」「綺麗になりたい」という願望を持つことは自然なことです。顎変形症にかぎらず、これから10年、20年先の医療は、美しく治すということが求められる時代がやってくると思います。